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ちいさな液晶板が生命線だった

握っているのは世界 僕らの世界

きみの声が聞こえないから

それならって僕は穿ったんだ

きらいな色の夜が来て

きみは明日のほうを向いていた

僕だけ昨日に引きずられては

生きられない理由ばかりを

大切に大切にあたためていた

汚い手のひらではきみを守れなくて

渋滞で連なる灯りは

僕らを連れていってはくれない

 

遠くへいくんだね、

きみは強くなったんだ

僕がいない世界できっと羽ばたく

そのとき微かにきこえる声は

きみをいつしか殺してしまう

思い出して

長いあいだ溶かしていた気持ちを

最低だった日々のかけらを

もういかなきゃ きみはパイロット

その小さな手で桿をにぎるんだ

 

そうして本当にひとりになった僕は

幾ばくの思いや理由に踏みつぶされて

苦しまぎれに死ねない理由を探すのだ

そこにあっても見えないから

遠くなっても見えないから

賞味期限がすぎてもなお

歩みをとめたりできないんだ